この橋を渡ったら

齢七十翁(岩国市 68歳)

錦帯橋はうららかに
      秋吉台はさやかなり

「山口県民の歌」はこのように始まります。
錦帯橋は、建造物としての美しさのみならず、その構造的な完成度、また、景色の一部となって四季折々に水面に映る立ち姿など、見る者に感動を与える、類い希な橋といえます。しかし、これを歌詞に盛り込むとなると、実物を想起させる端的な言葉だけで十分。それ以上どれだけ文字を重ねてもその存在感には敵(かな)いません。

昭和四十年代、デュークエイセスによる「にほんのうた」シリーズが発表されました。作詞家・永六輔、作曲家・いずみたくの二人が日本各地を旅して、その土地の風情を織り込んだオリジナルのご当地ソングを制作するというもので、さしずめゆるキャラの音楽版というところでしょうか。このシリーズで歌われた山口県の曲が「この橋を渡ったら」です。

一 この橋を渡ったら サヨナラ
  もう逢うことのない サヨナラ
  愛の日の思い出 川に流して
  橋の終わりを 右と左へ
  別れに渡るのは 錦帯橋

せっかく永六輔氏に注目していただいた錦帯橋、岩国市民としてはより華やかに詩(うた)っていただきたかったところですが、川の両岸を繋ぐ橋としての性(さが)といいますか、その位置づけに沿って言葉が選ばれ、実に哀しい歌となっています。
更に、二番、三番も、