暖かい手

ちひろ(岩国市 14歳)

天国は現世の病気から解放されるのだろうか。もしそうなら、祖父はもう何にも苦しめられず、木材と戯れているのだろう。私がこの世に生を授かり母のお腹で眠る頃、祖父はあの世へ戻っていった。
木が大好きだ、とでも言いそうな仏壇を見る。私は会ったこともないはずの、祖父への思い出が鮮やかに夏の空へ溶けた。
 
私の祖父は、地元で活躍してきた大工として錦帯橋平成の架け替えに参加した。見せてもらう写真には、和釘を打つ細めの背中が、どれも力強く映る。
錦帯橋に行くたび、母が1番自慢するのは手すりだ。母も祖父も好きな、錦帯橋の木組だったりと、もっとあるだろうに、と思っていた。錦帯橋について学校の課題などで頻繁に調べるようになったとき、その理由を教えてくれた。
「手すりはおじいちゃんが1番こだわったところ。近くに行っても気づかないかもしれないけれど、少しずつの曲線が優しく、やわらかくうつくしい。前回とはまた違う、うつくしさがある」